ニュージーランド旅行のベストシーズン

ネットでの情報やガイドブックなどではお決まりの情報ですね。
美しく趣のある四季を持つ日本人は、世界で最も季節感に敏感な国民だと思います。どこに行くにも、最もいい季節に行きたいと思いますよね。
現地在住のローカル目線と、プロのツアーガイドの視点から、別の切り口で、うんちく風に書いていこうかなと思います。

大抵の情報では、「ニュージーランド旅行のベストシーズンは夏」と書いていると思います。あえて言わせていただくと、それは間違ってはいませんが、良い情報とは言えないと思います。
旅行会社に問い合わせてみると、ニュージーランドに行ったことがないスタッフほど夏と言う傾向がありますし、ガイドブックなどのライターは、全てのシーズンを訪れて夏と書いているのかも疑問です。
旅行記や体験談ブログなどでも、たった1回しか訪れたことのない人が、ベストシーズンは夏と堂々と言っているのもいかがなものかなと感じてしまいます。

最近のベストセラーとなった「ファクトフルネス」的な捉え方でベストシーズン考をしていきましょう。

そもそもなぜベストシーズンを「夏」と限定するのでしょうか?
私が考えたのは以下の理由です。(極めて個人的意見ですので、あしからず)

1;日本人には旅行やレジャーなどの「お休み」のイメージが「夏」

最近の日本の夏は、酷暑のあまり、旅行もままならないかもしれませんが、やはり「夏休み」という言葉にもあるように、夏には「休みをとってどこかに遊びに行く」というイメージがあるのではないでしょうか?
日本と同じように四季のあるニュージーランドですから、ベストシーズンを「夏」と解釈するのもうなずけます。

2;冬の間違ったイメージが先行している(プロの視点から)

雪山に氷河というイメージのニュージーランドですから、冬は北海道のように、海外ではカナダや北欧のように、寒くて旅行できない国と勘違いしている人がいるようです。
これは、日本人だけではありません、クライストチャーチのローカルでさえも、例えば冬のマウントックは凍てつく極寒の地と思っている人が多いほどです。
しかし実際は、南島の冬の温度は、北海道よりも寒くないですし、クライストチャーチは、東京や大阪の冬と大して変わらないと思います。

3;旅行会社は北半球の冬にニュージーランドを集客したい(プロの視点から)

私自身もツーリズム業界の人間ですので、これを言ってしまうと怒られてしまいますが、日本での海外旅行業の場合、旅行先のほとんどは北半球で、南半球の旅行先はそれほど多くありません。北半球の冬に集客が落ちてしまう分、ニュージーランドなどの南半球の夏に販売を集中させる狙いもあります。

私がベストシーズンは「夏」だけではないと言い切るのには訳があります。(ローカル目線)

ニュージーランドと同じように、日本にも四季があり、それぞれの季節に特徴があります。もし、外国人観光客から「日本を旅行するのはいつが一番いいですか?」質問されたら、4つの季節のうち1つを即答できるでしょうか?私であれば、「すべての季節いいよ」「それぞれに良さがあって、ひとつ選べない」「旅行の目的によって様々」などと答えてしまいます。

ニュージーランドで、同じ質問を何度もローカルにしたことがあります。夏と答える人は確かに多いですが、冬と答える人もいましたし、一番多かったのは、「すべてシーズン」という答えでした。

では、ニュージーランドのそれぞれの四季にどんな特徴があるのでしょうか?
まずは気候について。旅行を計画するのに抑えておきたいポイントをお話しします。

気象庁より抜粋

いろいろな情報があり、正しい情報を収集することは前提条件ですが、もっと重要なのは、その情報をどう読むかですね。

平均値をあまりあてにしすぎない

各都市の平均気温を見て、日本よりも過ごしやすいと早合点してはいけません。これが落とし穴のひとつ。気温は朝と昼とは違い、この平均値が一日中続くわけではありません。旅行中の衣服の準備に必要なのは、最高気温と最低気温。日本よりも寒暖差が激しいですので、平均値よりも±7, 8℃見積もっても良いほどです。

場所によって気温が決まらない

いろいろな情報では、「南下すればする程気温が下がる」と書いていますが、これも単なる平均値の話。データだけを見て情報を提供すると、こういう記事になってしまいますね。


東京から札幌に移動すると気温の差を感じることがあるでしょう。しかし、クライストチャーチからクイーンズタウンに移動して、気温が下がってるなと、感じるとは必ずしもありません。
日本のように、全国的に気候区分が定まっている場合は、緯度や標高が気温を決める要因になりますが、ニュージーランドは小さい国なのに、地域によっての気候のばらつきが大きく、気温は天候によって決まると言っても過言ではありません。

天候によって、クライストチャーチよりも標高が高いマウントクックや、緯度の高いクイーンズタウンの方が暖かいこともあります。また、風が北から南に変わると、日中でもその日の最低気温になることもありますし、春と秋はその日の最高気温が前日より15℃以上低い(高い)こともよくありあす。

旅行中に、翌日の服装に困ったときは、天気予報(風向きも)を見ましょう。

旅行中のお天気で気になる「雨」はどうでしょうか。

これまで、様々な国の方をガイドしたことがありますが(今は日本人だけ)、日本人は雨が嫌いな国柄だと思います。梅雨が台風の季節がある日本人ならではの質問で、「どの季節が雨が少ないのですか?」と聞かれます。私の答えはいつも同じで「一年中それほど大差ありません」。補足すると、若干の差はあっても大差はありません。

上記のグラフが示す通り、2018年と2019年の4、7、11月のデータを見れば、この2年は傾向が全く違うことが分かります。降雨量の平均値はあまりあてにならないのがよく分かります。

また、旅行中のエリアによっても、降雨量のばらつきが多いのも特徴です。
クライストチャーチでは年間約650mmに対し、マウントクックは約4500mm。ミルフォードサウンドに至っては、7000mm以上の雨が降ります。

それでは、それぞれの季節の特徴を旅行をテーマにご紹介します

春(9〜11月)

クライストチャーチ ハグレー公園の桜並木

山々にはたっぷり雪が残り、気温は上がってきますが、サザンアルプスではまだまだ冬山の絶景を見ることができます。
国花コーファイ、代表花マウントクックリリー、街では様々な桜の花も見られますので、花好きの方にはおすすめの季節。道中の牧場に、かわいい子羊が生まれるのもこの季節です。

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夏(12〜2月)

夏のセアリーターンズ

日が長くなり、クリスマスシーズンは21時を過ぎてもまだ明るいほど。一日じゅう目いっぱい旅行を楽しむことができます。過ごしやすい気温で、最も観光客が訪れるシーズン。賑やかで混みあってはいますが、旅行インフラが充実していますので、旅行しやすいシーズンとなります。

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秋(3〜5月)

秋のアロータウン

4月中旬から下旬にかけては、南島各地では黄葉が美しい季節となります。
次第に観光客の数も少なくなり、静かに旅ができるのが魅力です。宿泊施設やアクティビティでは、ショルダーシーズン価格を設けているところがあり、旅行費用を抑えることもできます。

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冬(6〜8月)

タズマン氷河スキー

なんと言っても山が最も美しいシーズン。夏山とは別物と化します。
また、星空ウォッチングに最も適しているのは冬。ウィンタースポーツも楽しく、クイーンズタウンやワナカは、冬でも賑わいを見せています。
ラグビーを観戦したい方はやはり冬ですね。

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まとめ;ローカルのツアーガイドが伝授する時期選びのツボ

夏はベストシーズンと言えるが、それ以外の季節がベストでないとは限らない
気候データを参考にするのは良いが、実際は来てみないと分からない
どんな旅行をしたいのか、旅行の目的な何なのかを定めて時期を決めると良い
寒さを理由に冬を選ばないのはナンセンス
NZに数回しか来ていない者の情報は、その人が訪れた季節の情報しか参考にならない

結局、ベストシーズンって何なの?

日本人はなかなかお休みが取れないお国柄。やっと取れた休みが、ちまたで言うベストシーズンでなくても安心してください。
その時があなたにとってのベストシーズンです。
ニュージーランドは私たちが思う以上に懐の深い国なんです。

次回は;それぞれの季節を細かくご紹介していきます。


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