ニュージーランドの自然が美しい 5つの理由(vol.4 人々の自然への意識編)

なぜこんなにニュージーランドの自然は美しく人々を感動させるのでしょうか?
他にも素晴らしい自然の国はありますが、ニュージーランドは他の国とは何が違うのでしょうか?

エリア紹介やランキングなどは他サイトでもありますので、当ブログでは別の切り口で、コラム風にニュージーランドの自然について深く迫ってみたいと思います。

世界各国65カ国以上を訪れた私が、なぜニュージーランドの自然がこれほど素晴らしいのかを、5つの理由から検証してみました。

1;ニュージーランドのロケーション
2;ニュージーランドの自然史
3;島国のニュージーランド
4;人々の自然への意識
5;人口が少ない国

そして4つ目の「人々の自然への意識」について。
自然がごく身近で、保護への意識が高いニュージーランドの人々。具体的にどのような意識を持っているのでしょうか?

New Zealand Native Riverwoodより抜粋

過去の過ち

前回の「島国編」で、「守ってあげないといけない」ことをお話しました。

マオリがこの島にやってきて、開墾をして農作物を植えるため、この島には無かった植物の種や、家畜としての小動物を持ち込みました。また、生きていくために、当時の最大の飛べない鳥、モアも絶滅させてしまいました。

その後イギリス人たちの入植からは、羊、馬、牛や、農業に必要な植物がヨーロッパから持ち込まれ、また豊かな森林が瞬く間に伐採されてしまいました。生きるのに必死だったマオリやイギリスからの開拓者を責めるつもりは全くありません。

しかし、事実として人間がこの島に住み始めてから、40種類(全体の約半分)の鳥類が絶滅し、現在残りの59%が絶滅の危機に瀕しています。

また、国土の80%を覆っていた森林は、現在わずかに24.8%まで伐採されてしまいました。日本が27%と言われていますので、実はニュージーランドの方が深刻な森林伐採が行われたことになります。

原生種の植物に関しては、20%が絶滅の危機に瀕している言われているのです。

DOC

ニュージーランドの国立公園を旅行すると、上のようなロゴの看板によく出会います。Department of Conservation、略してDOCと呼ばれ、環境保護省のサインです。日本の環境省とは比較にならない程、このDOCの影響力は大きく、厳重に外来種の持ち込みの制限を管理したり、国立公園の保護に努めています。

世界中でニュージーランドにしかない貴重な自然が絶えてしまわないように、保護保全するのがDOCの役割。国民全体に環境保護の啓発運動も活発に行っています。

また観光業が自然へ大きなダメージを与えないよう、様々な規制を設けて行き過ぎた開発が無いように管理しています。例えば、マウントクックやフィヨルドランド等の国立公園内でのハイキングガイドは、DOCからの許可がなければ運営してはならないことになっています。

子供たちへの自然保護の啓発運動も盛ん。教育現場でも積極的にニュージーランドの自然の貴重さとその特徴、そしてなぜ守っていかないといけないかなど、小さな子供たちへもしっかり伝えています。

民間レベルでの意識の高さ

企業の自然保護への支援活動も盛んです。大手銀行のBNZも国鳥のキウイバードの保護活動に協力しています。かつて1200万羽生息していたキウイバードは、今はたったの7万羽に減少してしまいました。今も管理下にないキウイバードは毎年2%ずつ減少しています。また、全く保護活動をしなかったら、11年でキウイバードは絶滅するというデータも出ています。

環境保全を啓発する団体も数多くあります。偏ったイデオロギーを主張するような団体ではなく、誰もが身近に環境を考える機会を与えてくれるような団体です。Keep New Zealand Beautifulは、その名の通り目的もシンプル。地域コミュニティー、学校、企業などで、ゴミ拾いをしようという清掃イベントもよく行われています。

小さなこの島国を愛し、ローカルコミュニティーを大切にするお国柄のニュージーランドの人々。この美しい自分たちの土地を汚さないよう保っていこうという心のあり方は至ってシンプルですね。

ティアキ プロミス

外来のものからの脅威に翻弄され続けてきたニュージーランドの自然。外来のものは、動物や植物などだけではありません。我々人間も外来のものなのです。

ニュージーランドは観光立国。人口500万に程の小さな国に、毎年400万人弱の来訪者がやってきます。その多くが観光客で、ニュージーランドのローカルや自然に入り込ます。ティアキプロミスでは、美しい自然が壊されることのないよう、ローカルの文化を尊重するよう、旅行者たちにも環境保全の啓発をしています。

旅行者へも高い意識を持っていただき、旅行していくで、未来のために行動に移しましょうというのが、ニュージーランド流のおもてなしなのです。

八百万の神

深い自然信仰のマオリは、私たち日本人が持つ八百万の神と同じ精神を持っています。万物の神は自然から。大地の母パパトゥアヌク、空の父ランギヌイ、森の神タネマフタ、山の神アオラキなど、マオリは自然と深く関わって生きてきました。

マオリが自然を敬虔に大切にするところからも、ニュージーランドの人々の自然への接し方が分かります。

世界で2番目に古い国立公園

By Mr H. – self-made, based on all the national park maps of New Zealand Category:

ニュージーランドは13ヶ所の国立公園があり、DOCの管理下の元、厳重に保護されています。最も古い国立公園は、1894年に指定された北島のトンガリロ国立公園。これはアメリカのイエローストーン国立公園に次いで、世界で2番目に古い国立公園なのです。

アメリカと同じように、開拓者が建国した新しい国。他のものに開拓されてしまう前に、自分たちの大切な自然を守ろうという意識が、他の国よりも早かったのかもしれません。

たった3つの世界遺産

ニュージーランドには、トンガリロ(自然文化遺産)テ・ワヒポウナム/南西ニュージーランド(自然遺産)亜南極諸島(自然遺産)の3ヶ所しかありません。そのうち亜南極諸島は、一般人の立ち入りができないエリア。ニュージーランドでは、観光地のローカルが頑張って世界遺産を申請して観光客を呼び込もうという気風は全く感じません。特に国立公園では、自然保護と観光収入とのバランスを常に均等に保つ姿勢を感じます。

皆さんの日常生活で、どのくらい自分たちの自然環境のことを知っているでしょうか?またどのくらい関心があるでしょうか?守っていくために具体的に何が必要かを知っているでしょうか?

ニュージーランドを旅行すると、いろいろな場面で、この国の人々の環境に対する意識の高さを感じると思います。それもまたこの国の旅で感じるカルチャーショックのひとつ

景色を見て視覚的に美しいと感じるだけでなく、どうしてこの自然があるのだろうか?と少しだけでも考えてみてください。

まずは、空港での入国時の検疫で、それを感じられるかもしれません。

次は最終章「人口が少ない国」をお届けします。
最後まで目を通していただき、ありがとうございました。

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