バラエティーに富んだニュージーランドの大自然の中でも、世界に誇るサザンアルプスの氷河。
麓からの観光でも、岩壁に張り付く懸垂氷河やアイスバーグ(氷塊)が浮かぶ氷河湖で氷河の力を感じますし、登山や遊覧飛行では、ダイナミックな大河のような氷河やアイスフォール、クレバスに大氷原を間近にすることが出来ます。
初めて訪れる旅行者の方々は、その美しさや雄大さに感動されるかもしれませんが、マウントクックに住んでいる時に毎日見ていた私は、年々その氷河が小さく、薄くなっているのを肌で感じていました。
氷河の後退で氷河湖が拡大し、懸垂氷河が薄く短くなり山肌が露出し始め、特に夏山で毎年変化を必ず感じています。地図を見ていただいても、氷河湖の大きさが変わっていることを見つけることもできます。
私が初めてマウントクックでトレッキングガイドの仕事をしたのが18年前の2003年。その時に購入した地形図が左。最近のものが右。ニュージーランドで2番目の規模を誇るマーチソン氷河。18年前には氷河湖がほとんど無かったことが分かります。
上がニュージーランド最大のタスマン氷河。この氷河湖はニュージーランドの中でも超加速度的に大きくなっていることで知られています。
現在は、長さ約6km、幅約2kmと言われている巨大な氷河湖ですが、18年前はこんなに小さかったんです。毎年大きくなっていることが私の目にもはっきり分かるほど。この氷河湖は1973年に生まれ、2000年までの30年弱で2kmの大きさとなりましたが、2000年から今日までの約20年で4kmも伸びてしまいました。どんどんと氷河の後退の速さが分かります。
ウエストコースの観光で有名な、フランツ・ジョセフ氷河とフォックス氷河。以前は温暖化していても未だに前進していることで知られていましたが、残念ながら現在は後退しています。
10年ほど前までは、氷河の先端部分からアクセスしての氷河ハイキングのアクティビティが大人気でしたが、現在はヘリで上部にアクセスしないと歩けなくなってしまいました。温暖化により氷河ハイクガイドが職を失ったんです。
上はマウントクック観光で多くの方が訪れるフッカーバレー、ケアポイント、セアリーターンズ周辺の地形図。ミューラー氷河湖、フッカー氷河もかなり大きくなっていることが分かります。
ケアポイントの眼下に望むミューラー氷河湖も、私がガイドを始めた頃は真下には氷河がまだありました。(下写真)
温暖化の理由は、様々意見や考えがあるので、あえてここで書きませんが、温暖化で氷河が後退しているのは紛れもない事実です。私たちガイドは肌で感じる気温で温暖化を感じるだけでなく、実際の視覚で温暖化をひしひし感じているのです。
私たちが住む大切な地球の自然環境のために真剣に何かを感じ考え行動する時が来ていますね。
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