2020年を振り返って

激動の2020年が終わろうとしています。新型コロナウイルスという世界の歴史や社会のあり方を変えてしまうほどの出来事があり、旅行業の私にも大きな影響を与えました。

多くの方々が、職を失ったり、廃業に追い込まれたり、また旅行業から身を引かれたりしている中、なんとか私がここまで生きながらえているのは、ひとえに皆さまの支えがあっての事と心から感謝しています。

普段なら、大晦日という日は、ニュージーランドのツアーガイドや旅行業の者にとっては大忙しの日で、こんなブログをゆっくり書く暇なんてありません。今年はコロナの影響で静かな大晦日を迎えていますので、振り返りブログなんてものを書いてみようと思います。本当に今年は特別な年ですから。

2020年の元旦はニューブライトンへ初日の出を見に行きました。オーストラリアの山火事の影響で赤い夕陽のような初日の出。2020年に何か奇妙なことが起こる前兆だったのかもしれません。

2019年の7月からこの会社ニュージーランドツーリズムクリエーションズを立ち上げました。設立当初は、それまでのお付き合いもあり、各旅行会社さんからガイドの仕事の依頼をいただきました。私の会社のツアーではなく、私が売れていた状態だったのです。これは私が求めているカタチではありませんでした。

今年2020年に入った頃から、弊社ツアー、いわゆる私の作った商品が世に知れ渡るようになり、少しずつですが、お申し込みをいただけるようになってきました。7月から土を耕し、種を蒔き、水をやってきた成果がやっと芽となってきたのです。

しかしやっとここまで来たか、いや、やっとスタートラインに立てたと思った矢先、新型コロナウイルスのニュースが飛び込んできました。

KEVIN STENT/SUPPLIED

初めはこんなに長期化するとは思ってもいませんでした。NZ政府が早々2月2日に中国からの入国制限の措置をとり、その後、日本国内にも感染者が増えていく中、日本からの入国制限があるかもしれないと、戦々恐々としていたのを今でも覚えています。結局は3月14日に、全ての入国者に14日間の隔離を強制する措置をとることを発表しました。これで、19/20シーズンの僕の仕事も万事休すとなってしまったのです。

3月16日から5月の連休までに入っていた予約はほぼ全てキャンセル。26日からはニュージーランドは4週間のロックダウンに突入しました。

まともな外出もできず、その先の仕事の見通しが全くつかない中、次第にこのコロナ騒動が未来に大きな影響を与える転換期となることを自覚し始めました。旅行業界への打撃は図り知れませんが、それは旅行業界だけではなく、社会全体が大きく変わり、新時代を迎える兆しをはっきり感じていました。

旅行業界に関しては、私は常日頃から旧態依然としたニュージーランドにおける日本の旅行業界のカタチを変えたいと思っていました。それまでは悪かったとは言いません。しかしもう少し現場で活躍するツアーガイドたちの待遇や地位を向上させ、クオリティが常に高められる環境を作りたいという長年の思いがありました。

私は「現地ツアー会社主導のツーリズムマーケットの構築」を目指してましたので、社名にツーリズムクリエーションズと名付けました。コロナが世界をどう変えるか?じっくり予測してみると、(なぜかの説明は割愛しますが)自分が目指すカタチにコロナを機に変えていけると確信したのです。

これからは個の力」の時代になる。
人々がますますインターネットでの人との結び付きが強くなっていく。
人と人との物理的距離が開けば開くほど、人は人により関心を持つようになってくる。
会社などの組織に縛られない社会になり、信頼や信用が、会社名や組織ではなく個人に依存するものとなってくる。

私たち現地ツアーガイドにとっては、お客様との距離がますます近くなり、お客様が日本を出発する前から現地ガイドと親しく信頼関係を築ける時代になってくると確信しました。

ロックダウン中でも手を止めるわけにはいかないと、私がまず始めたのがこのブログです。それまでは、フェイスブックツイッターインスタグラムとSNSで情報発信していましたが、もっとしっかりとボリュームある内容をお届けしたいという思いでスタートいたしました。今すぐに読んでくださる方がいなくてもいい。いつか皆様がニュージーランドに来れるようになった時に読んでいただければと思いなんとかここまでやってきました。

その他にも、自分の写真をネットで販売したり、写真集を作って販売したりと自分が今すぐできると思ったことはなんでも挑戦してみました。そして何よりも一番の大挑戦だったのが、オンラインイベントへの出演からのYouTubeへのチャレンジでした。

人生初のオンラインイベント出演は、フェイスブックグループの「ニュージーランド部」からの出演依頼でした。自分の姿がインターネットに乗って、目の前に見えない方に映っているという、かつてない経験。そういうことが苦手な方なので、とても緊張しましたが、今となっては、このおかげがあるから今の活動があると言っても過言ではありません。

その後始めたのが、今でも隔週で続けているYouTube配信「ニュージーランド現地ガイドの小部屋話し」です。かねてから、ニュージーランド内の現地ガイド(特に大手旅行会社直属のようなガイド会社の社員ではない、フリーランスのようなガイド)と横のつながりを持ちたいと考えていました。

そして繋がりが持てたら何をするか?どのように協力しあって発信していくかを考えた結果が、YouTubeライブ配信になったのです。これはコロナがなければ起こり得なかったチャレンジかもしれません。自分がよもやYouTubeに出るなんて、コロナ禍の前に誰が想像できたでしょうか?

ユーチューバー。自分だけはこれはやらないなと思っていましたが、YouTubeがユーチューバーのように再生回数で広告を稼ぐ者だけが出演する時代ではなくなったのです。それまでブログなど文字や写真で情報を発信する時代から、動画に変わり自分が出演するという時代になり、これに乗らなくてはならい事態になったのです。そう、時代の波に飲まれるのではなく、うまく乗りこなさないといけないのです。

このように、コロナ禍でもニュージーランドの魅力を広める活動や、現地ツアーガイドが日本のお客様と繋がりを持てるように信頼関係を作っていくと、いつかコロナが明けたころに、新しい未来が待っていると信じながら続けてきました。

その他にも、コロナ禍で大打撃を受けた旅行業界のために何か恩返しができないかと、自分の経験を生かし、「Mitchy’sツアーガイド塾」というYouTube配信も始めました。この素晴らしいツアーガイドという職業という仕事を絶やしてはいけない、なりたいと夢見ていた人たちをサポートしたい、コロナ明けでのツアーガイドの地位やクオリティを向上したいをいう思いで始めました。

しかし…コロナの影響は私が想像するよりもかなり長くなってしまいました。SNSやブログでの情報発信、YouTube配信、どれもコロナ明けを見据えて行ってきたことですが、収入が途絶えると生活していけなくなります。日本からのお客様を受けられないこの時期でもどうにか収入を得るため方法を考えなくてはならない。今流行りの言葉でいうとマネタイズできる何かを始めなくてはならないと思いました。

そのひとつが、Mitchy’sツアーガイド塾で有料のオンラインセミナーを開催することです。一般公開のコンテンツではお話しできない内容や、セミナー受講生に寄り添ったオンライン講座で、現在はツアーガイドを目指す若者たちと充実した時間を過ごしています。

もうひとつが、今流行りのオンラインツアー。10月中旬にスタートし、主に週末に開催してきましたが、これまで多くのお客様をバーチャルで、クライストチャーチテカポへご案内いたしました。

オンラインツアーという言葉がコロナ禍でで始めた時は、「危機回避の為の一時的なビジネス」と、あまり乗り気ではありませんでした。時代が新しい方向へどんどん進んでいくにつれて、私の考えも次第に変わっていきました。

病院で過ごす方、老人ホームのおじいちゃんおばあちゃん、幼稚園や小学校の夢見る子供たち、仕事で忙しくて旅行できない方、そして今コロナで海外旅行できない全世界の方々へ。「今コロナで来れない方だけでなく、普段からどうしても海外旅行ができない方にもお届けできる」ことにパラダイムシフトすると、僕の長年の夢が叶うようなイメージが沸いたのです。

「海外旅行できない方にも感動をお届けできる」時代というものがまた僕に、ツアーガイドとしての使命を与えてくれたとさえ感じます。

実際のお客様をご案内できるのは、ニュージーランドにお住まいの国内旅行の方のみになります。この夏のホリデーシーズンでは、数こそ多くはないものの、何名かのお客様をご案内できる機会をいただいています。本当に嬉しい限りです。このコロナ禍にご案内したお客様はおそらく一生忘れないと思います。

ニュージーランド国内旅行では、レンタカーを借りれば自由な旅行ができるし、英語にもさほど困る方もいないでしょう。しかし、私が日頃から広めたいと思っている「ガイド付きツアーの付加価値」を理解してくださっている方、私を信頼してくださっている方がいらっしゃるというのは、この辛いコロナ禍では、本当に私の心の支えとなってくれています。

そして、このコロナのおかげで得られたもの、たくさんありすぎて書ききれませんが、ここでは新たに繋がりを持てるようになった方々に感謝したいと思っています。

私たちの小部屋TouTube配信につづき始められたYouTube配信「カナダ現地ガイドの井戸端会議」の方々、同じ境遇で情報をくれたり励ましてくれた同業者の仲間たち、SNSで新たに知り合えた方々、ほとんどの新しい出会いは、コロナがなくしてはあり得なかったかもしれません。本当にありがとうございました。来年もその先も末長くお付き合いを願います!

長くなりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。ちょっと真面目に振り返ってしまいましたので、堅い文面になってしまいました。2020年に支えてくださった全ての方に心からお礼申し上げます。2021年もこれまで以上に、新しいことにチャレンジしていこうと思っています。またその時はどうぞよろしくお願いいたします!

そして、全ての方々にとって、2021年が健康で明るい未来になることを心から祈っております。

2020年大晦日

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